2016年10月28日金曜日

vol.012 #中川町七、石の舟





ある日、町七はタタキで舟を作ろうと思った。

石でできた舟を運河にしずめるのだ。
石でできた舟を運河にうかべるのだ。

この舟は浮いているようでそう見えない。
かといって、沈んでるようでそうではない。
水面ギリギリのところにその境界をあらわし、舟の中には土が入っている。
その舟に鳥がフンをして、周辺四方の植生環境が舟の中で島化され濃縮される。
ガラパゴス舟とも呼ばれたりするが、セカイの縮図のようなダイオラマでもある。
そのさまは周辺の海抜ゼロメートル地帯を再現しているように見えるが、津波が押し寄せても沈まない不沈空母でもある。