2045年5月、今年もロボット鵜飼いの季節がやってきた。
29年前には三年ごとに渡って来る鳥が、ゲイジツという名の動物取扱業に使われたことから、動物愛護団体からのクレームが殺到し、それ以来、生の生き物を使った\貯メはことごとくロボットに置き換えられていった。
鵜飼いもその例に漏れず、なにより「労働の搾取」と「大食の罪」の象徴でもあったことから、いち早くロボット化が進められたのだった。
中川運河では鵜は鮎ではなく、鯔を捕まえる。
ロボット鵜はアルキメデスポンプを体内に仕込み、肛門部分より運河の水ごと一気に吸い上げる。
ポンプのスクリューはボラのからだを傷つけないようにシリコンラバーでできている。
鵜匠は口から吐き出された鯔を、運河に落とさないようにヒョイとつかむことが見せ場の伝統技だった。
鵜飼いがロボットに置き換わっても、生の鵜がツミやチョウゲンボウの餌食であることに変わりはなかった。